「家を売りたい。でもどうしたら良いのか分からない。」という方は多いと思います。
今回は、売却の流れや必要な書類、売却にかかる費用について説明します。
目次
売却の流れ
住宅を売却する際の流れは以下の通りです。
売却には平均6ヶ月程かかります。焦って売却すると良い事はありませんので、余裕を持って準備・相談すると良いでしょう。
売却の相談・相場調査
まずは不動産仲介業者に売却の相談をし、査定額を確認します。
物件の登記事項証明書、固定資産税納税通知書、図面などを用意しておくと話がスムーズに進みます。
査定額は仲介業者によって異なり、数百万円程度の差が出ることもあります。
自分でも近場の売り物件情報を調べるなど、相場を確認してから売り出し価格を決めるようにしましょう。
■査定
査定には「机上査定」と「訪問査定」があります。
机上査定で大まかな相場を把握し、その後 信頼のおける会社に訪問査定を依頼します。
訪問査定では、 担当者が現地を訪問し、所有者から話を聞き、物件の状態や隣地との境界の確認などを行い、査定金額を出します。
■用意しておくと良い書類
・登記事項証明書 ※謄本は不動産仲介業者でも取得可能です。
・固定資産税納税通知書
・敷地測量図
・建物の図面
・ローン残高を確認できる書類
・リフォーム履歴がある場合はリフォーム工事の書類
媒介契約書の締結
買主を探してもらう仲介業者を決めたら、仲介業者と媒介契約書を締結します。
売り出し価格や、売却できたときに仲介業者に支払う報酬、売却に向けた活動の方針や内容も、この契約を通じて決めます。
契約の種類は3つあります。1社のみの仲介業者に買い手募集を任せる場合は「専属専任媒介契約」または「専任媒介契約」となります。
複数の仲介業者に依頼する場合は「一般媒介契約」となります。
媒介契約の種類 | 同時契約できる不動産業者の数 | 自己発見取引 | 報告義務 | 有効期間 |
一般媒介契約 | 2社以上 | 可 | 義務なし | 3ヶ月以内 |
専任媒介契約 | 1社のみ | 可 | 2週間に1回以上 | 3ヶ月以内 |
専属専任媒介契約 | 1社のみ | 不可 | 1週間に1回以上 | 3ヶ月以内 |
売却活動
仲介業者は、不動産情報サイトへの情報掲載や新聞折り込み・チラシなどの広告活動、購入検討者の物件見学に立ち会うなどの販売活動をおこないます。
住みながら売却活動を行う場合、購入希望者から問い合わせや内覧希望があった場合は、その都度対応をする必要があります。
売買契約の締結
買主が決定し双方の内容に問題がなければ、重要事項の説明の後、売買契約書の内容を確認し、署名・捺印及び手付金の受領を行います。
■売買契約時に用意するもの(売主)
売買契約時に売主が用意するものは以下の通りです。
1)身分証明書、実印、印鑑証明書、住民票 ※印鑑証明書と住民票は発行から3ヶ月以内のもの
2)登記済権利証または登記識別情報
また、「売却の相談時」用意しておくと良い書類として案内した以下も必要となります。紛失した場合は仲介業者にその旨をお伝えください。
3)固定資産税納税通知書
4)敷地測量図
5)建物の図面
6)ローン残高を確認できる書類(ローン残高がある場合のみ)
7)リフォーム工事の書類(リフォーム履歴がある場合のみ)
8)仲介手数料(契約時か決済時、またはそれぞれ半額ずつ支払うケースが多いです)
他、物件に関する資料があれば用意しておきます。
■契約後の解約1(手付放棄による解約)
手付金が「解約手付」として支払われたものである場合、買主からは手付放棄による契約解除ができます。
売主からは手付金の倍返しによる解除が可能です。例えば、手付金が100万円だとすると売主からは200万円を支払う事によって解除ができます。
ただし、手付金の放棄や倍返しで解除が可能なのは、相手方に契約履行の着手があるまでの間です。
一般的には、売主が所有権移転登記の申請を行った際や、買主が中間金の支払いを行った際などが履行の着手にあたるとされています。
■契約後の解約2(違約金が発生する解約)
手付解除の期日を過ぎから、売主または買主のどちらかが一方的に解除を申し出る場合、基本的に違約金が発生します。
違約金の金額は、重要事項説明書や売買契約書に記載されますので、事前に確認しておきます。
その他、違約金以外の支払いが発生することもありますので、契約前に条件等を良く確認しておく必要があります。
決済・引渡し
決済では、残金と固定資産税や管理費・修繕積立金(マンションの場合)の精算を行い、登記を申請します。
決済場所は、振込手続きを行う金融機関で行う場合が多いですが、仲介業者の事務所等で行う場合もあります。
決済完了後 物件を引渡し、仲介手数料や登記費用など(以下で説明)を支払います。
■決済時に用意するもの(売主)
「売買契約時に用意するもの」とほぼ同じですが、その他に以下等が必要となります。
(仲介業者や司法書士から指示があります。)
・戸籍謄本(結婚や離婚などで登記簿上の氏名と現在の氏名が一致しない場合のみ)
・売却物件の鍵
・通帳・銀行印(残代金の振込み口座)
・仲介手数料(支払時期は仲介業者との契約によります)
・登記費用(「抵当権抹消登記」や「住所変更登記」などが必要な場合に、司法書士に支払います)
確定申告
不動産を売却すると、翌年に確定申告が必要になる場合があります。確定申告は、不動産売却によって利益を得た時、つまり購入価格より売却価格の方が高かった時に行うもので、利益に対して譲渡所得税を納めます。
ただし、居住用不動産(マイホーム)においては、3000万円の特別控除の特例や、所有期間が10年を超えている場合3000万円控除後の譲渡所得に軽減税率の適用があります。また、不動産売却によって損失が出たとき、一定の要件を満たす場合は確定申告することによって、その譲渡損失の金額について、他の所得との損益通算および譲渡年の翌年以降3年内の総所得金額等から繰越控除ができる場合があります。
売却にかかる費用
仲介手数料
売買が成立した際にかかる不動産仲介業者へ支払う報酬で、不動産の調査・公告・書類作成などに対する手数料です。
この活動の報酬は、売買が成立したうえで請求される「成功報酬」となっています。
したがって、物件の売却や購入の仲介を依頼したものの、売買契約が成立しなかった場合は請求されません。
仲介手数料は、宅地建物取引業法により上限額が定められています。
取引物件価格(税込) | 仲介手数料の条件額 |
---|---|
200万円以下 | (取引物件価格(税抜)×5%)×消費税 |
200万超400万円以下 | (取引物件価格(税抜)×4%+2万円)×消費税 |
400万円超 | (取引物件価格(税抜)×3%+6万円)×消費税 |
登記費用
所有権移転登記の費用は、基本的に買主が支払います。
不動産に抵当権が設定されている場合には、売却前に抵当権を抹消する必要があり、その費用は売主の負担です。
印紙代
不動産の売買契約を行う際、売買契約書を不動産仲介業者が作り、その契約内容を売主・買主に説明します。
契約書には印紙を貼る必要があり、契約書2部分の印紙代は売主と買主の双方で負担します。
印紙代は物件の売買価格によって変わります。
測量費用
売却する土地に、境界杭など土地の境界点を示すものがない場合は、測量をする必要があります。
境界杭は、境界を確定した際に境界点の印として打つものですが、年月が経つと地面に埋もれたり抜けてしまうことがあります。
そのような場合は、新たに測量をして境界杭を設置する必要があります。
解体費用
古い家付の土地を更地にして売却する場合、建物の解体費用がかかります。